手塚治虫の初期作品に触れる<手塚治虫 初期傑作集6 ロック冒険記>

 とても味わい深い、SF傑作。

手塚治虫…まじいいわ。

手塚治虫初期傑作集 (6) (小学館叢書)

手塚治虫初期傑作集 (6) (小学館叢書)

 

 

 こんばんは、づめっちです。

 

このブログでも紹介しましたが、「ビブリア古書堂の事件手帳」の第4巻では手塚治虫作品についての話がありました。

よくよく考えてみると、私が手塚治虫で読んだことがあるのは、火の鳥ぐらいで、ブラックジャックはコミックではなくアニメで見た世代です。

 

小学生の時に読んだ火の鳥は衝撃的で、絵も話もとても残酷に思え、読むことに罪悪感を覚える程で、それ以来好んで手塚治虫を読もうとはしてきませんでした。

 

最近になり、ビブリア古書堂の事件手帳で紹介されたことで読んでみようと思い、図書館で借りたのが上記の「手塚治虫初期傑作集6 ロック冒険記」です。

 

あらすじ

19XX年。ディモン博士は太陽の近くに未知の惑星を発見した。発見者の名をとって「ディモン星」と名付けられたその惑星は、地球に接近して地球全体に大暴風雨を巻き起こし、大惨事をもたらしたあげく、地球の引力にとらわれ、第二の月となった。その混乱のさなか、ディモン博士は、息子のロック少年に、遺言でディモン星に関する権利をゆずり渡して死亡した。

ロックは、暴風雨で吹き飛ばされてきた日本人孤児・伴大助の親を探すため、ディモン探検隊の隊長を引き受ける。ところが、ディモン星を訪れた探検隊員たちは、身体の一部がふくれあがる謎の熱病に次々と襲われる。病気への恐怖にかられた隊員の一人が錯乱し、ロックと大助をディモン星に残したまま、ロケットを地球に戻してしまった。

 wikipediaより

この傑作集6には2作収録されており、どちらも「ロック少年」が主人公の物語です。二つの物語には関連はなく、それぞれ独立したお話です。

 

一つ目は、とあるお金持ちの庭に埋まった巨大なタイムカプセルから話が始まります。そのタイムカプセルは約20年前のもので、20年前の電化製品や生活必需品が入っており、もともとは1000年後に向けたものであったことがわかりましたが、特に変わったところはありませんでした。

ところが時を同じくして、とある売れない漫画家「ロック少年」がそのお金持ちとぶつかった処から、なぜか異世界物の漫画を描き始め、それが大ヒットしていく。

その二つの物語があるところから交差し、異世界が現実のものとなっていく…

 

そんなお話でした。いいのは、話の構成が二つの道から一つに統合されるときに一気に異世界が現実なっていくという飛躍ですね。SFというと科学的にどうのこうのとか、ちょっとヤヤコシイ説明でガチガチに武装してくるイメージがあるのですが、少年漫画なだけあって、一気に飛ぶ。難し事考えずに其の世界に浸れるからいいのですよ。

 

二つ目の話は、あらすじの通り。こちらは宇宙物で、小学生なら信じそう地球と太陽の対角線上に、地球に似た星があって、というお話。これを手塚治虫がいつ書いたか、それが気になるところで、進化論などは全くもって無視しているところがいい。これぞ少年漫画SF。最後は少し尻つぼみだったが、上手くまとまっていて面白かったです。

 

これらが書かれた当初はどうだったか不明ですが、今の漫画とはちょっとコマ割りが違って、一つのコマの中での吹き出しの順序がちょっと分かりづらかったかな。あと吹き出しの改行がむちゃくちゃで、読みづらかったので、もしかして当時は手書き文字だったのかなと思ったがそうでもないようだ。

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http://zerogahou.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/box-db1e.html

 

どちらも、昭和の味わいがとっても良くて、あーこのころのSFっていいなぁと思いながら、一気に読んでしましました。

古本屋などで見かけられたらぜひ、どうぞ。

PS.Amazonの中古で1円?!でした。